「読む」神経学 頭痛・めまい・スポーツへの応用

前回は画面のスクロールで行われる眼球の運動についてお話ししました。

画面を追従する眼球運動は、追従するために滑らかに動く「滑動性眼球運動 Pursuit」 と呼ばれる動きと、高速に元の位置に眼球を戻す「衝動性眼球運動 Saccade」と呼ばれる運動によって構成されるという話をしました。

文章中では緩徐相とサッケードという言葉で記載したかと思います。

これはスクロール中の目の動きを説明したのですが、今まさにあなたが行っている「文章を読む」この動作は滑動性眼球運動だと思いますか?それとも衝動性眼球運動だと思いますか?

文章を読んでいる時は、衝動性眼球運動 Saccade です。

文章をいくつかのブロックに分けながら、サッケードしていきます。

この研究はアメリカ、フランス、ドイツで盛んに行われていたので、横文字で、単語と単語の間に空間が存在するため、その単語の文字の大きさによってサッケードする範囲が自動的に決められているようです。

日本語は文字と文字の間に空間はないため、「漢字」と「ひらがな」という形を読み取り、サッケードする位置を予測しています。

文章を読解する、つまり意味を解読する作業は、視野の中心窩 Forveal (視点から1°)と呼ばれる目の黄斑 macula の中心部分で視覚的詳細を扱います。

先ほど記載した、サッケードするための予測に使われる部分は傍中心窩 Paraforveal (視点から1°〜5°)で行われています。

別の表現で分類されているものもあります。それが知覚の範囲 perceptual span・視覚の範囲 visual span です。

知覚の範囲とは読みにおける情報を近くできる中心窩で捉えている範囲を指し、読みのプロセスを助けるための傍中心窩で取られた範囲を視覚の範囲と言います。

「読み」という行為で行われている神経機構の概要についてこれまで述べてきました。

読む行為ができない状態、いわゆる「失読症」、これについては眼球運動がもたらしている問題ではないと言われています。

読むことが障害された結果、眼球運動の異常をもたらすと理解されています。

しかし、頭痛やめまいを患う方が抱える、「本を読めない」と言った症状に関しては、この眼球のコントロールを改善させることで、本を読むことや頭痛やめまいの症状も緩和させることができると実感しています。

この滑動性眼球運動と衝動性眼球運動の検査は、気分の不快感を起こす恐れがあるため、体調によっては検査するべきではありませんが、頭痛を患っていて、なおかつ眼精疲労など目に関する症状もある方は動眼検査も行い、治療計画に組み込む必要があると思っています。

最後にスポーツについての応用ですが、読書の神経機構は「視覚探索」と呼ばれる神経機能と同様のしくみが使われています。

この視覚探索とは、例えば、サッカーやバスケットボールなどのフィールド上に敵見方の双方が入り乱れて存在している場合に、その見分ける能力などがその一つです。

スポーツ選手に対する応用についてもまた記載したいと思います。

頭痛やめまいでお困りの方のお力に少しでもなれれば幸いです。

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にしむら治療院 西村 公典

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